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当院では腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症に対し、内視鏡による脊椎手術(PED)を施行しております。
内視鏡を用いる利点として、以下の4つが上げられます。
当院で用いる内視鏡は直径8mmの細長い筒型です。
脊椎内部に挿入して用います。
左のような鮮明な画像を得るごとが可能です。
椎間板が突出して神経を圧迫している場合には、パンチでつまんで取り出します。
腰椎椎間板ヘルニアは、腰痛の原因として最も多くみらえる疾患です。
腰にある椎体(骨)と椎体の間にある椎間板(軟骨)の一部(髄核)が飛び出すことで神経を圧迫し、ぎっくり腰のような激しい痛みや、下半身のしびれを伴います。
従来の腰椎椎間板ヘルニアの手術は、全身麻酔をし腰椎を中心に4~7cmの皮膚を切開し、筋肉を大きく切り、ヘルニア塊を摘出。手術後3か月程度コルセットを使用し、1ヵ月ほどリハビリ治療が必要でしたが、
医療の進歩により内視鏡手術(内視鏡下手術)による切除が可能となりました。これにより腰椎を中心に0.6~1cmの皮膚を切開しヘルニア塊を摘出できるようになりました。
また術後の負担もほとんどなくなったため、当院では日帰り手術をおこなっております。
この内視鏡下ヘルニア摘出術の平均的な治療費は、3割負担の方で約10万円~12万円程度となります。
前述の内視鏡手術が適応となり得る疾患であっても,全てにおいて内視鏡を用いた治療が可能なわけではありません。治療方法は,病名の他にご本人の健康状態や安全性なども考慮させていただき,ご本人に最も適すると考えられる手術法をお勧めします。
当院では原則として日帰り手術を承ります。ただし、入院が必要な場合や、入院をご希望の方には、当院提携病院をご紹介差し上げます。当院の内視鏡器具を搬入し、当院院長が手術を担当いたします。
内視鏡脊椎手術は、基本的に以下の要領で行います。
1)腹部を圧迫しないように骨盤と胸を支えるパッドがついた専用の台の上に寝てもらいます。
2)外科用X線透視装置を背部に配置します。
1)硬膜外麻酔:背骨の隙間に針を刺し、内部の脊髄神経を覆う膜【硬膜】の外側の空間【硬膜外腔】に麻酔薬を注入し、術中の痛みを緩和します。
2)椎間板造影:椎間板内に染色液と造影剤を注入し、ヘルニアの局在を明確にします。
3)局所麻酔:内視鏡を挿入する部位に局所麻酔を打ちます。
1)皮膚を1㎝ほど切開し、内視鏡をX線透視下に背骨の間に挿入します。
2)内視鏡用の鉗子を使用し、神経への圧迫を解除します。
3)内視鏡を抜去後に皮膚縫合して終了です。
1)内出血を体外に排液するためのチューブ【ドレーン】を留置します。
2)狭窄症手術例でドレーンを留置する ことが多いです。
1)術後2時間は安静臥床で様子観察します。
2)異常がないことを確認してから、独歩可能です。
主な症状は軽減することが期待できます。
しかしながら、手術は完全治癒させるものではありません。たとえば椎間板ヘルニアの場合、ヘルニアを摘出して神経への圧迫を解除しますが、すでに傷ついた神経を完全に直すことはできません。
したがって手術の効果は、①術前からの神経損傷の程度 ②術後の回復力 によって変わります。手術は回復の始まりであり、残存症状に対しては
術後のリハビリテーションや投薬が必要です。一般的に、痛みは改善しやすいのに対し、痺れや知覚異常は改善に時間がかかる傾向にあります。
最終的な治療効果の判定には、術後3か月程の経過観察が必要です。
脊椎内視鏡手術(FESS)は、患者さんへの負担が少ない優れた手術法ですが、神経というデリケートなものを扱う脊椎手術の一つであり、合併症のリスクがあります。当院では、2017年からFESSを300例以上行っており、発生率はかなり低いとはいえ、FESSだからこそ注意しなければならない合併症もある事を経験してきました。
大事なことは、FESSに特有な合併症の対処方法を常に準備しておくことだと考えます。下記は当院で特に注意しているFESSの合併症とその対処法です。
手術でヘルニアを全摘出したのに、また同じ部位にヘルニアが出現することがあります。ヘルニアに対する手術法は、FESSの他にも、従来手術であるLove法や顕微鏡下でのmicro-Love法、円筒形レトラクターを使用するMED法などありますが、どの術式でも再発率は同等と考えられています。ちなみに初回術後5年以内のヘルニア再発率は4~15%と報告されています。
再発した場合、必ずしも再手術が必要なわけではありません。しかし、痛みや脱力などの症状が耐えられない場合、FESSを再度お勧めする場合があります。
なお、術後早期のヘルニア再発を予防するためには、コルセットの適切な使用やリハビリテーションなどの入念な後療法が欠かせません。
術後、脱力感や感覚障害、しびれなどの神経症状が出現し、症状が一過性に悪化する場合があります。これには①安全にヘルニアを摘出するために神経をけん引して保護する必要がある ②周囲との激しい癒着があり、神経の剥離操作が必要となる などの手術操作が一因の場合があります。
一方で、術中には神経に直接触れる操作は一切ないのに、術後数日してから手術部位とは異なる神経に症状が出ることがあります。このように原因が明確な場合とそうでない場合がありますが、これらの症状の8割以上は、術後4週以内の自然消退が期待できます。痺れや痛みに対して、内服薬の処方やブロック注射を併用する場合もあります。
術後に脊椎内部で血液が多量に貯留してゲル状に固まり【血腫】、神経を圧迫するために下肢痛や脱力、排尿障害などが発生することがあります(0.1~3%)。FESSでも骨切除量が多い場合には、切除面からじわじわ出血して血腫が出来る恐れがあります。
ほとんどの場合で血腫は自然吸収されるので、徐々に症状も改善していきますが、まれに血腫除去のための再手術が必要な場合があります。
当院では、術後に血腫発生の恐れがある場合、原則として術翌日までドレーンを創部に留置させていただきます【連携医療機関への一泊入院をご案内します】。
手術中に神経を覆っている膜【硬膜】に穴が開き、内部を流れる脳脊髄液が漏れることを髄液漏と呼びます。髄液漏が起きると、頭痛や吐き気がでることがあります。脳圧の変化が症状と関連すると言われており、寝ている姿勢から急に起きると頭痛やめまいを感じる場合や、トイレで強くいきむと腰や臀部に痛みがでる、というのもよく聞かれる症状です。
術中に明らかな硬膜損傷を認めた場合は、硬膜の上に特殊な補填剤をのせ、皮膚を密に縫合することで硬膜を修復します。但し、術前から神経が長期間にわたり強く絞扼されていると、硬膜が希薄化して周囲と癒着している為に傷つきやすく、たとえ術中に明らかな損傷を認めなくても、微小な硬膜損傷を生じる恐れがあります。
術中に硬膜損傷が生じた場合や、硬膜損傷が無くても術後の経過から硬膜損傷が疑わしい場合には、手術創が完全に治癒するまで、なるべく安静に過ごされるようお願いすることがあります。
SSIとは、手術した部位が化膿することを意味し、患部に熱感を伴ったり、激しい痛みを生じたりします。
整形外科領域のSSI発生率は0.1~17.3%と報告されており、部位や術式によって大きな幅があります。たとえば関節鏡手術のSSI発生率は0.14~0.48%と低く、①キズが小さい ②患部に術者の手が直接触れない ③灌流液が創部を絶えず満たしている などが理由としてあげられます。
FESSは関節鏡手術とほぼ同じ条件で行われるので、SSI発生率も同程度に低いと考えられます。しかしFESSもれっきとした整形外科手術であり、SSIのリスクを常に考慮しなければなりません。
当院の日帰り手術は原則として①予防的抗菌剤投与;手術開始2時間以内に抗菌剤投与するのがSSI発生率低下に最も効果的 ②術翌日の創チェック:再診時に創周囲の腫れや熱感などの感染徴候の有無を確認 を行います。SSIが疑われる場合には、血液検査や培養検査、抗菌剤投与を行います。
また万が一、創内に膿が貯留している場合には、ドレナージ(ハリや内視鏡で膿を穿刺して体外へ排液する)を要することがあります。
おおよその標準的な手術費用です。
手術中の状況や使用する薬品、材料などによって多少違いが出てくる場合があります。どうぞご了承ください。
自己負担の割合 | 自己負担額 |
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2割負担の場合 | 約70000円 |
3割負担の場合 | 約100000円 |
患者様が寄贈してくださったマンガです。