骨量の減少により骨が脆くなったために、骨折しやすい状態もしくは骨折した状態のことを言います。骨にも新陳代謝が行われているため、古い骨は新しい骨に常に置き換わっています。実際には破骨細胞が古い骨を吸収し、骨芽細胞が新たな骨を作り出すというサイクルが絶えず繰り返されており、骨吸収と骨形成とのバランスを取ることによって、骨は強度と形状を維持することが可能となります。一方、骨吸収が骨形成に対して優位に作用した場合には骨の強度低下を招き、骨粗鬆症を招きます。
2010年に行われた調査によると、骨粗鬆症をお持ちの方は現在1280万人と推定されており、そのうち女性は980万人と76%を占めております。女性に骨粗鬆症が多い最大の要因は、閉経に伴う女性ホルモンの急激な減少と考えられています。そのほかの骨粗鬆症の要因としては、特定な疾患(糖尿病やリウマチ、内臓疾患、栄養障害、甲状腺や副甲状腺疾患など)や薬物(ステロイドなど)が挙げられます。
骨粗鬆症の合併症としての骨折には前腕骨遠位端骨折、上腕骨近位部骨折、椎体骨折、大腿骨近位部骨折の4つが挙げられますが、これらの中で最も頻度が高いものは椎体骨折です。骨粗鬆症をお持ちの70歳代日本人女性は、骨粗鬆症を未治療のままに放置していると1年間で12.5%、2年間に24%の椎体骨折を生じていたことが報告されております。椎体骨折をひとたび起こすと、椎体変形による脊柱の変形が発生し、猫背体型になってきます。そのため絶えず背筋を伸ばす必要があるため筋肉疲労が蓄積して疲れやすくなり、慢性的な腰背部痛で悩まされることにもなります。また、前屈姿勢のためにバランスが悪くなって転倒しやすくなるなど、日常生活に対して少なからず影響を与えます。骨折を繰り返すと自立した生活を営むことが困難にもなるため、支援や介護を要することになります。さらに、動きにくくなることで高血圧や高血糖などの新たな生活習慣病にも罹患しやすくなります。このように、骨粗鬆症が様々な悪循環の発端となる恐れがあります。
血液検査、尿検査にて 血中の蛋白量、副甲状腺ホルモン、カルシウムやリン、亜鉛、腎機能などを必ず評価し、ビタミンDやビタミンKなど、容易に出来る栄養学的な背景を薬剤処方で行います。ビタミンDは、骨粗しょう症治療薬およびサプリメントとしても一般に用いられておりますが、単に骨密度の上昇のみならず、筋力増強、バランス感覚の改善にも役立つことが知られております。
骨密度検査にてYAM70%以下の場合には骨粗しょう症と診断可能です。
血液検査にて骨代謝マーカーを測定することにより、骨形成と骨吸収のバランス状態を把握します。
既往歴、家族歴、食事の偏り、血液データなどを総合して評価し、最も適した薬物をお勧めいたします。下記薬剤が使用可能です。