肩関節鏡手術

肩関節鏡手術とは

肩関節鏡手術とは

太さが直径4mmの関節鏡を用います。
1cm程度の傷から関節鏡を関節内に挿入して手術操作を行います。
小さな傷で手術が可能なため、体への負担がとても少ないのが最も大きな特徴です。

当院では、断裂した筋肉(腱板断裂)の縫合、関節内の出っ張り(骨棘)の切除や、癒着した 筋肉の剝離などを日帰り手術で行います。

肩の解剖図

肩の解剖図

腱板は棘上筋、棘下筋、肩甲下筋、小円筋の四つから構成されています。棘上筋は、肩峰と上腕骨の間に挟まれているという解剖学的特徴から、腱板のなかで最も断裂しやすい筋肉です。
腱板断裂という診断は、上記の4つの筋肉のうちのどれかが断裂したことを意味しますが、多くの場合は棘上筋断裂を指します。

肩の筋肉は常に激しい負荷に晒されている

肩の筋肉は常に激しい負荷に晒されている

筋肉は、経年変化によって弾力性や伸縮性が衰え、傷が入ります。私たちはこれを“変性”と呼びます。

牽引力が持続的に加えられることで、筋肉は
①のばされ ②引きちぎられ ③毛羽だって
膨れた部分が炎症を起こし ④周囲と癒着して関節の動きを著しく妨げ、激しい関節痛を起こします。
棘上筋、上腕二頭筋長頭腱は特に炎症を来しやすい筋肉です。

50歳以上の肩(男性)を調査した研究で、約2割に腱板変性を認めたとの報告があります。外傷歴がないのに肩が痛くて手が背中に回らない状態は“五十肩”と呼ばれ、その原因はいまだ不明ですが、腱板変性がその原因の一つとも考えられています。

腱板断裂の診断

腱板断裂の診断

腱板断裂の診断には超音波検査(エコー)を用います。エコーは外来診療中にどなたでも気軽に受けられます。
エコーに習熟した整形外科医であれば1~2分程度で診断が可能です。

腱板に異常がない、または断裂の程度が軽い場合、原則として理学療法を中心とした保存的療法をお勧めします。
一方、保存的療法では対処困難な腱板断裂を認める場合にはMRIによる精密検査をご案内します。

術前検査としてMRIを撮影

術前検査としてMRIを撮影

MRIによって、腱板が修復可能かどうかを判定します。
ただし、たとえ腱板断裂を認めても
①現在の症状とは関連が乏しい
②腱板断裂以外にも関節内に損傷を認める
場合があり、あえて修復をお勧めしないこともあるのです。そのため、MRIは治療方針の決定にとても重要です。

肩関節鏡手術での治療について

エコーガイド神経根ブロック

エコーガイド神経根ブロック

第5、第6頸神経根に麻酔をかけることで、手術中の痛みをほぼ完全にブロックすることが可能です。
手術開始直前にエコー画面を見ながら、神経根近傍に注射針を進め、神経根を囲むように麻酔薬を注入します。

エコーガイド神経根ブロックは
①正確 ②安全 ③ブロック時の疼痛が少ない などの特徴があり、日帰り手術に最も適した麻酔法です。

関節鏡手術 代表例①

50歳台男性 腱板断裂

転倒して肩を打撲。その後、肩挙上困難と激しい夜間痛あり

50歳台男性 腱板断裂

腱板断裂()で上腕骨が露出した状態

腱板を上腕骨に縫合した

関節鏡手術 代表例②

70歳台女性 上腕二頭筋長頭腱不全断裂

毎日1キロ水泳していたが、激しい肩関節痛で泳げなくなった

70歳台女性 上腕二頭筋長頭腱不全断裂

二頭筋長頭腱が、通常の倍以上に腫脹。腱中央には、ささくれだった腱が擦り切れて飛び出ていた。

長頭腱変性断裂が症状の主因と考え、これを切離した【腱切り術】

腱板断裂とスポーツとの関係

腱板断裂とスポーツとの関係

テニスやゴルフに代表される、肘を肩より高く上げるスポーツでは、腱板断裂の発生頻度が高くなります。
“痛いのは腕で、肩ではない”と上腕の三角筋周囲に痛みを訴える方はとても多いです。
肩のモーションを繰り返すことで、いつも感じる痛みが再現される場合には、問題点は肩にあると考えます。

腱板断裂とスポーツとの関係

バレーボールやバスケットボールなどの常に手を頭より高く上げるスポーツも同様に肩を痛めやすいです。

腱板断裂とスポーツとの関係

肩を強くぶつけて腱板断裂を発症するスノーボーダーは、決して珍しくありません。
①転倒後、腕が上がらなくなった
②背中に手が回らない
③痛めた肩を下にして眠れない などの訴えが2週以上続く場合は、腱板断裂が疑われます。

腱板断裂とスポーツとの関係

腕を上に伸ばした姿勢を長時間持続させるスポーツは肩への負担が大きく、腱板断裂しやすいスポーツだと考えられます。ボルダリングの場合、転落して肩を痛めることも多いです。

腱板断裂とスポーツとの関係

水泳は、腰や膝への負担が少ないため、シニアの方々に人気のスポーツです。肩への負担がかなり大きいため、二頭筋長頭腱炎を起こしている場合がしばしば見られます。
水泳を続けられるよう、関節可動域が損なわれないような治療法を選択するように心がけております。

腱板断裂とスポーツとの関係

通勤の際に、つり革につかまろうとしたけど肩が痛くて出来なかったこと、ありませんか?
日常生活を送るだけでも、肩は絶えず酷使されています
①肘が肩より高く上がらない ②手が背中に回らない
は、腱板に炎症を来したサインです。いつでもご相談ください。

腱板断裂の治療に欠かせない大事なもの

① 関節鏡手術に習熟した整形外科医
関節鏡手術に習熟した整形外科医

当院では肩関節の関節鏡手術に習熟した整形外科専門医が治療を行います。

② 日帰り手術に習熟した手術スタッフ
日帰り手術に習熟した手術スタッフ

当院では、これまで大学病院や基幹病院の手術室で勤務経験がある手術スタッフが共に治療にあたります。

③ 患部を保護する装具
患部を保護する装具

修復した腱板が完全に骨と癒合する(6から8週)までの間、患部を保護してくれる装具はとても大切なものです。

④ リハビリテーション
リハビリテーション

単に筋肉を縫い付けただけでは、体は動いてくれません。
手術はあくまで治療のスタートです。理学療法士によるリハビリテーションで機能を回復させる必要があります。


肩関節鏡手術に最も必要なもの

勇気を出して来院された患者さんは、不安と悩みをたくさん抱えていると思います。

肩関節鏡手術に最も必要なもの腕が上がらなくて、着替えが大変。
寝返りするごとに肩の痛みで目が覚めてしまう。
半年以上も前から痛いけど、全然良くならない。
家族やご近所さんは、自然と治るんじゃないかって
病院に来るのは気が引けたけど、
いつまでたってもなおらないし・・・。

肩関節鏡手術に最も必要なもの

私たちは皆様の悩み、不安、そして希望を愛と勇気でしっかりと受け止めます。
ご本人にとって最も適する治療法を十分吟味します。いつでも気軽にご相談ください

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